梅雨が明けるとまた戦いの夏が始まる。
「お願い! 私をヤツから守って!」
愛する妻からの願い。
俺も一国一城の主、俺は妻を妻が忌み嫌う天敵から守らなければならない。
ヤツは神出鬼没、いつどこから現れるかわからない。
俺は今から戦いの準備を着々と進めている。
侵入経路の遮断、トラップの配置、いざという時のための武器の確保などなど。
今年も俺はヤツを妻の目の触れないところで静かに抹殺する。
俺もできることなら無駄な殺生はしたくない。
しかし、妻を守るためには仕方ない事だと自分に言い聞かせる。
俺は妻に宣言した。
「今年のゴキブリ退治の準備は万端だから安心してね」