僕の彼女はとても気難しい。その気難しい一面を除いては僕は彼女に対して非常に満足している。顔は僕の好みのタイプだし、髪型も僕の大好きなショートヘア。スタイルも抜群で料理も上手い。ちょっとエッチな話だけどセックスの相性も良い。もう一度言うけど気難しい一面を除いては申し分の無い、僕には勿体ないくらいの女性なんだ。
A子と出会った日の事は忘れられないよ。A子との出会いは、実はA子からの逆ナンパだったんだ。この僕が逆ナンパされたなんて僕の友人達は絶対に信じてくれないだろうな。
でも、本当にA子から逆ナンパされたんだ。その日はA子に声をかけられてから喫茶店で二時間くらい話をしたかな。A子はとても聞き上手でね、二時間くらいの間ほとんど僕が喋ってた。その日は最後にお互いの携帯電話の番号とメールアドレスを交換して別れた。
それから僕とA子との交際は始まったんだ。
ノロケ話になっちゃうけどA子は僕にベタ惚れでね、デートの誘いはいつもA子の方からなんだ。昨日もA子から誘われて芦ノ湖の方までドライブに出かけた。言っておくけど僕は一昔前に流行った貢ぐ君、アッシー君、メッシー君の類じゃないよ。デート代は基本的に割り勘、昨日のドライブだってお互いに車を持ってないからレンタカーを借りて行ったんだ。二人で街を歩けばすれ違うほとんどの男達は振り返る。A子はとっても美人なんだ。
そんなA子だから僕はA子の気難しい一面を我慢することができる。
A子の気難しい一面、それは、A子は個人情報の保護にとても神経質なんだ。
A子と付き合ってもう三年になるけど、A子の事で知っている個人情報は最初に出会った時に教えてもらった携帯電話の番号とメールアドレスだけ。名前は最も重要な個人情報だから教えてもらえない。
だから僕は彼女の事を「A子」と呼んでいるんだ。